大野市、改正保険法「あいまい」と控訴
(2009年1月7日 朝日新聞)
06年4月に改正された介護保険法の規定をめぐり、大野市が苦しい立場に立たされている。
要介護者の必要に応じたサービスを細かく提供する「小規模多機能型居宅介護」事業に応募して指定されなかった事業者が、大野市を相手に「不指定の取り消し」を求めて起こした訴訟の判決がこのほどあり、市側が敗訴。
これに対し、大野市は6日、改正介護保険法の事業者指定の規定が「あいまい」として、名古屋高裁金沢支部に控訴した。
「事業計画策定の趣旨と法が整合していない実情を訴えたい」と主張する。
小規模多機能型居宅介護事業は「通い」を中心に、要介護者の希望などに応じて「訪問」「泊まり」を組み合わせる地域密着型サービス。
改正介護保険法で加えられ、市区町村には指定や監督の権限が委ねられた。
大野市は06〜08年度の事業計画で市内を三つの圏域に分け、この事業については事業者の計画数をそれぞれ1として公募。
上庄・尚徳中学校区では2事業者が応じたため、市の介護保険運営協議会に意見を求めるなどして1事業者を選定した。
市社会福祉課によると、一方の事業者が空き家屋を改装して施設として使う方針だったのに対し、もう一方は新たに建物を建てるという内容で、コスト上の懸念もあって、建物を建てる方の事業者が指定されなかった。
これに対し、指定されなかった事業者が「法には要件を満たす事業者の指定を制限する規定がない」として訴訟を提起。福井地裁は12月24日、事業者の言い分を認め、不指定を取り消す判決を下した。
介護保険法は、認知症グループホームや30人未満のケアハウスのように費用のかかる施設系サービスについて、計画達成に支障をきたす恐れがある場合には事業者を指定しないことができるという規定を設けているが、小規模多機能型居宅介護などの居宅系サービスには規定がない。
大野市社会福祉課の石田光義課長は地裁で係争中の07年9月、厚生労働省へ出向き、事情を説明したが、「公募については評価されたが、定数を超えて指定から外れた事業者からの提訴は想定外だと言われた」と言う。
岡田高大市長は「法には不指定権限は明記されていないが、事業者が計画量を上回ればサービス過剰や財政圧迫を招きかねない。上級裁判所の判断を仰ぎたい」と話している。
厚労省の老健局計画課は「法を改正するとなれば、慎重な考慮が必要。計画数を上回る事業者が指定を希望した場合にどうするかはその自治体の判断であり、裁判の行方を見守る」としている。
2009年01月08日
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